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『気だるい猫ちゃん』蔡 寶華作品展(マカオ版画アーティスト)

2020.12.12

12/19(土)~24(木)10時~17時(最終日16時まで)

★残念ながら今年の新型コロナウイルスの影響で来日はかないませんでしたが、作品展は開催していただけることとなりました。ぜひご高覧くださいませ。
(be京都)
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前書き/蔡 寶華

 

大学時代に版画という科目を履修して以来、同級生たちと一緒に版画の技法を研究する雰囲気が好きでした。当時はセリグラフィーに夢中で、同じ版画が好きなクラスメイトと「猫」をテーマにして共同で小さな個展を開くこともありました。卒業後、版画とは関係がない仕事に就職しました。しかし、地味で煩雑な仕事は、創作の道を歩む中で多くの束縛と障害を感じました。

丁度その頃、王 禎寶先生が開設された版画コースを受講し、初めて銅版画エッチングに触れることができました。新鮮さを感じただけでなく、私をこの喧騒の世界から解放させたのです。こうして何時の間にか版画の世界で習い続けて十年になりました。

 

この十年の道のりをまとめるとすれば、私はあの時のテーマ「猫」を選んでしまいます。子供の頃、飼っていた子猫は遊びに出かけたきり戻って来ませんでした。それ以来、猫を飼うことが許されなくなりました。おそらくこの「手に入れたいのに手に入らない」という無念があの時から生まれてしまったので、猫は今でも私の心の中に残っています。そして、私の創作のミューズにもなっています。

 

今回の展示は9つのテーマがあり、それぞれのテーマに作品が4点あります。また、9つのテーマは二つの部分に分かれており、一つは現実の猫の記録を中心に、もう一つは虚構のイメージを中心としております。例えば:

 

《好奇》シリーズ       好奇心で迷子になった私の子猫の記念に。

《如幻》シリーズ       アニメで猫をベースにしたキャラクターが多くいますが、もし猫の姿で見せるなら、どんな様子をしているでしょう?

《瀬戸内海》シリーズ  私が行ったことのある猫島―佐柳島を記録しました。

《小寶》シリーズ       小寶(シュウボウ)はあるお店の猫の名前です。一日中鎖に縛られて、そして彼女は最初の無邪気な瞳が消え、だんだん物憂げな女王様の姿に変わってしまいました。

 

最後に疫病の影響で直接展示場まで伺うことができませんが、この機会を通じてこれまでご指導いただいた王 禎寶先生と、お互い学び合った仲間たちに心から感謝したいと思っております。皆さんが傍にいてくれたからこそ、自分の版画への道は更に輝けたのです。

 

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気だるい猫ちゃん

 

猫は、人の心が読めると聞いたことがあります。大事にしてあげれば、人の心が不安定な時に慰めてくれることもあります。猫を飼っている方はこのような不思議な体験をしたことがあると思います。

 

三十年前、私は8匹の猫を飼っていました。全て長毛なペルシャ猫でした。出張する度に猫好きの生徒に預かってもらっていました。しかし、たった一週間会っていないだけで、猫はもう人に懐かなくなってしまうこともあり、そのような時、私は猫を譲らせざるを得なくなりました。 最後に飼っていたのは、三毛猫でした。生後3ヶ月で、非常に可愛らしい子猫でした。その後、半年以上一緒に暮らしていましたが、ある日突然、玄関で迎えてくれる猫の姿が消えてしまい、建物中でくまなく捜しても見つからず、しばらく落ち込む日々が続きました。

 

私は蔡寶華氏が猫好きだと知りませんでしたが、展示会の準備をしながら、妊娠中の彼女は新しい命の誕生に色々とあこがれていたので、きっと彼女の心を落ち着かせることができるでしょう。繊細な心の持ち主である蔡氏はマカオミニチュアプリント大賞の受賞者であり、猫を題材にした作品は魅力的です。このコロナ禍に際して、観客の皆様に今回の展示を通して少しでも心が晴れていただければと思っております。

 

王 禎寶

マカオ版画研究センター会長